パスカルの原理を活用した油圧システムについて学び、関連した特許明細書を読みました。
1.油圧の基礎知識
油圧システムはパスカルの原理「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える」を活用した仕組みです。
油圧システムは油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧アクチュエータで構成されています。
油圧ポンプは原動機の機械的動力(力x速度、トルクx角速度)により供給される作動油を吸い上げて油圧動力(圧力x流量)に変換し、アクチュエータへと送り込む役割を担います。
油圧バルブは油圧ポンプから送り出された作動油の方向、圧力、流量を制御します。それぞれの役割に応じて方向制御弁、圧力制御弁、流量制御弁が油圧回路内に設置されます。
油圧アクチュエータは与えられた油圧動力を直線運動や回転運動の機械的な動力に変換します。直線運動への変換には油圧シリンダ、回転運動への変換には油圧モータが使われます。
油圧システムの安全性、効率などの向上のために油圧補機(アキュムレータ、フィルタ、熱交換器)が設置されています。
産業機械の油圧システムにおいて油圧動力を伝える作動油は、耐摩耗性・防錆性に優れ酸化されにくい鉱物系作動油が使用されますが、目的に応じて合成系作動油・水溶性作動油・生分解性作動油・高含水作動油なども選択されます。
油圧システムの長所は位置、速度、力、加速度を精密・高速に制御できることです。
柔軟な油圧エネルギー配分により1台の油圧ポンプで複数の油圧アクチュエータを操作することも可能です。過負荷を逃がす圧力制御弁などの働きにより安全性も高められ、頑丈で高耐久です。
一方油圧システムの短所は作動油の漏れ、作動油への異物の混入、作動油による火災などです。その他油圧ポンプの騒音、エネルギー損失などの低減も技術的改良の課題となっています。
2.明細書(特開2013-024316 油圧ジャッキ)
エレベータ装置の駆動手段として用いられる油圧ジャッキに関する特許です。
解決しようとする技術課題は油圧システムの短所である作動油の漏れに関するものです。
多段ジャッキは下段のロッドが上段のロッドに対してはシリンダーとなり、上段ロッドの外周面に付着した作動油の噴出を適切に抑制することが重要となります。
今回読んだ明細書は図面を丹念に読み取ることで内容を理解することが必要でした。
図面に書き込みをしてしっかりと読み込んだので時間がかかりました。
今後も明細書の学習を続けて図面のポイントを短時間で把握できるよう訓練していきます。
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