JASIS2021

科学・分析機器の展示会JASIS2021を視察しました。予習・復習を行い短期間ですが集中して分析手法について学びました。

1.事前準備


Varian GC/MS特許の対訳シリーズ学習時にクロマトグラフィーの概要について調べていたので、JASIS前には分光分析を中心に予習をし、FT-IRの明細書を2件選んで読むことにしました。

一件目は、干渉計のビームスプリッタにKBrなど潮解性をもつ材料を使用するため、着脱式の乾燥剤機構を設けるもので、図面を見ながらFT-IRの仕組みを学びました。

特開2021-135204 フーリエ変換赤外分光光度計 島津製作所

二件目で、課題が出ました。マイケルソン干渉計で干渉波を発生させ、フーリエ変換でスペクトルを得る原理についての知識が浅いと明細書の内容を理解できません。

再表2017/135356 フーリエ変換型分光装置を用いたスペクトル測定方法 日本分光

明細書を読む作業を一旦中止して、講座のビデオセミナー【3981 フーリエ変換入門】、ビームスプリッタ・干渉計・FT-IRに関するYouTube動画などを視聴して分析計の動作原理について学びました。

赤外線分光法に関しては、ブルース有機化学(上)にスペクトルの読み方が詳しく説明されていました。分析機器の仕組みが中心の企業サイト情報と合わせて、有機化学分析の視点での活用方法を知ることができました。

その他企業サイトを参照して広く浅くではありますが、NMRなど他の分析機器にも目を通しておきました。

2.新技術説明会


初めてのJASIS参加であり、主目的が分析機器全般の基本的理解を深めることだったので、多くの時間を新技術説明会に費やしました。

説明会は最大9セッション×9コマ×3日で開催されました。
事前に有力メーカーの主力製品をチェックして関連セッションに参加するつもりだったのですが、途中で計画を変更して多くの分野、異なったメーカーのセッションを選んで出席しました(以下参照)。

事前に予習が出来ている分野は理解が早く、満足感も高いのですが、知識不足の分析手法についてはセッション中分からない言葉が続きました。難解な明細書を前にしたときと同じような感覚です。異なった分野のセッションに幅広く出席することで、理解できない部分を明確にすることが出来ました。未知の概念については翌日までに復習をして次の日のセッションに臨みました。

一日目

11:30 FTIR異物・不良解析(島津製作所)
12:25 蛍光X線(島津製作所)
13:05 汎用SEM(日立ハイテクサイエンス)
13:45 TOF-SIMS(日立ハイテクサイエンス)
14:25 粉末XRD(マルバーン・パナリティカル)
15:05 マイクロプラスチック分析 LDIR(アジレント)
15:45 半導体 in-Situ計測 XRD他(堀場製作所)

二日目

10:25 電子スピン共鳴法 ESR(日本電子)
11:05 EDS検出器(ブルカー)SEM用検出器
11:45 卓上TEM(入江、delong instruments)
12:25 熱伝導率測定(日本サーマル・コンサルティング、Linseis)
13:05 液・液セパレーター(日本サイエンスコア、Zaiput)
13:45 UV/Vis分光光度計(日本分光)
15:05 多角度剥離試験(協和界面科学)
15:45 自動回転粘度計(ジャスコエンジニアリング)

三日目

10:25 GC分析基礎(ジーエルサイエンス)
11:45 SEM, AFM, CSI(日立ハイテクサイエンス)

3.JASIS会場


会場ではこれまでに学習をした明細書(3Mフッ素コーティング, Varian GC/MS, Nutrasweet化学合成など)に登場した分析機器や実験器具を実際に見て説明を聞くことができました。柴田科学さんの総合カタログもいただきました。

4.まとめ


分析化学の基本と仕組み」を参考にして新技術説明会で学んだ分析手法をXmindで分類しました。
普段は個別項目を参照するだけだったのですが、網羅性が高く非常に参考になりました。
分析手法全般に習熟するにはまだ勉強が必要ですが、見通しが良くなりました。

各種分析法は、有機無機化学・医療製薬・環境保護・半導体・電池・接着剤など幅広い分野で活用されています。今後は分析機器分野の明細書を読んで対訳を収集する作業に進みたいと思います。

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Translearner
IT機器メーカーの会社員です(営業・マーケティング職)。 退職したあとプロの特許翻訳者としてデビューするために勉強をはじめました。  2020年10月よりレバレッジ特許翻訳講座を受講しています(第10期生)。 理科の基礎知識から積み上げて、最終的には信頼される翻訳者になることが目標です。