2021年4月24日
仕事(エネルギー)の単位ジュールは複数の説明の仕方で定義ができます。物理を習得する上で単位を正確に理解することが重要です。それぞれの定義を構成する他の単位とあわせて整理しました。
物理の世界、特に力学は3つ物理量、長さ(距離)と質量と時間から成り立っています。
これらの物理量の単位は7つのSI基本単位に含まれています。
長さ(メートル)
質量(キログラム)
時間(秒)
電流(アンペア)
熱力学温度(ケルビン)
物質量(モル)
光度(カンデラ)
力学的な仕事の式はW=Fsなので、仕事の単位は以下のようになります。、
仕事[J]=力[N]×距離[m]
一方、電磁気的な仕事の式はW=qVですから、仕事の単位は以下のようになります。
仕事[J]=電荷[C]×電圧 [∨]
ここで、長さ、質量、時間に加えて電流が物理量として加わります。電流は上記の式の電荷および電圧で定義されています。
電流の単位はアンペア(ampere、記号A)ですが、1Aは以下のように定義されます。
- 毎秒1クーロンの電荷(電気量)を流す電流
- 1秒間に電子が(1/1.602176634)×10^19個通過した時の電流
電流 [A] = 電気量 [C] ÷ 時間 [s]
1A=1C/s = 1クーロン毎秒
第26回国際度量衡会議で決定された新定義(2019年5月20日施行)では、電気素量e(陽子や電子が持つ電荷の絶対値、素粒子の基本的電荷量)の値が1.602176634×10^(-19)Cだと定められました。
このために「SI基本単位」のアンペアと「固有の名称を持つSI組立単位」のクーロンの依存関係が逆になったそうです。
電圧の単位ボルトですが、1∨は以下のように定義されます。
- 1Aの電流が流れる導体の2点間において消費される電力が1Wの時の、その2点間の電圧
- 導体の2点間を1Cの電荷を運ぶのに1Jの仕事が必要となる時の、その2点間の電圧
- 1Ωの電気抵抗のある導体の2点間に1Aの電流が流れている時の、その2点間の電圧
電圧 [V] = 電力 [W] ÷ 電流 [A]
電圧 [V] = 仕事 [J] ÷ 電荷 [C]
電圧 [V] = 電流 [A] × 抵抗 [Ω]
1V = 1W/A = 1ワット毎アンペア
1V = 1J/C = 1ジュール毎クーロン
1V = 1A・Ω = 1アンペア・Ω
仕事率や電力の単位ワットと電気抵抗の単位Ωについても整理が必要となりました。
1Wの定義
- 1秒間に1Jの仕事が行われるときの仕事率(力学系)
- 1Vの電圧の電源から1Aの電流が流れている時の電力(電子/電気系)
仕事率 [W] = 仕事 [J] ÷ 時間 [s]
電力 [W] = 電圧 [V] × 電流 [A]
1W = 1J/s = 1ジュール毎秒
1W = 1V・A = 1ボルト・アンペア
1Ωの定義
- 1Vの電圧をかけたときに1Aの電流が流れる電気抵抗
電気抵抗 [Ω] = 電圧 [V] ÷ 電流 [A]
1Ω = 1V/A = 1ボルト毎アンペア
やっと仕事、熱量、電気量など、エネルギーの単位ジュールの定義にたどり着きました。
1Jの定義:
1.1Nの力がその力の方向に物体を1m動かすときの仕事
2.1Cの電荷を1Vの電位差分だけ進ませるような仕事
3.1Wの仕事率を1秒間行った時の仕事
1J=1N・1m = 1ニュートン・メートル
1J=1C・1V = 1クーロン・ボルト
1J=1W・1s = 1ワット・秒
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