対訳学習(ICP-MS)①

質量分析装置に関する明細書の翻訳作業を進めています。
学習してきた化学分析機器の基礎知識、日本語明細書で得た個別技術に関する専門知識、対訳シリーズで経験した講座の翻訳手法を総動員して取り組んでいます。

日本語明細書と同じ分野で、業界のトップ企業の明細書から以下を選択しました。

特開2019-160785 ICP-MSのためのタンデムのコリジョン/リアクションセル アジレント

ICP(誘導結合プラズマ質量分析法)関連は、複数の明細書に目を通しているので、基本的な技術内容については理解しています。類似の装置図面も見ているので部品の役割や名称についても概ね見当がつきます。

この環境で翻訳がどのように進むかということですが、やはり読むことと訳すことの大きな違いがあります。

【請求項】は【詳細な説明】の後に翻訳することにしました。

【背景技術】が最初の試練です。
全体で約2万ワードで、以下のようなていねいな技術説明が続きます。


An ICP-MS system includes a plasma-based ion source to generate plasma to break molecules of the sample down to atoms and then ionize the atoms in preparation for the elemental analysis.

ICPーMSシステムは、試料の分子を原子に分解するためのプラズマを生成し、次に元素分析の準備のために原子をイオン化するプラズマ型イオン源を含む。


基礎的な技術説明は、専門用語とは違った難しさがあり、訳語確定に時間がかかります。
もう一度ICP関連の専門知識の復習が必要なときもありました。

【課題を解決するための手段】は、請求項と内容的に近似している部分もあり、ここも時間をかけて訳出しました。

【図面の簡単な説明】【発明を実施するための形態】に入ってからペースが落ち着いてきて、約100ワード/時で訳せるようになりました。

タイトルは「対訳学習」となっていますが、長めの明細書を一件自力で翻訳してから、公開訳と比べる予定です。

イメージとしては、講座の「対訳シリーズ」を自分でやってみる感じでしょうか。
違いは訳文の質の判断は自分でしなければならないこと。

論理を読みとること、正しい訳語を使うこと、特許明細書に相応しい適切な日本語表現にすることを意識して進めています。

全体の約半分まで到達しました。
訳語検索の時間も最初の頃よりは少なくなり、Tradosのメモリもマッチし始めましたが、それでもまだ130ワード/時の訳出速度です。

一文一文が特許翻訳スキルの基礎となって積み重なっていく、まだ「急ぐ」段階ではない、と自分に言い聞かせながら、それでも毎日どれくらいの速度で翻訳できたかを気にしながら進めています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください