バリアン対訳シリーズの前半では訳語確定と用語登録について多くを学びました。後半に入って翻訳作業の奥深さ、難しさを実感しながら作業を続けています。
1.専門用語
専門用語の訳語確定では自分で調べて用例を見つけたものもあります。
しかし多くの場合動画で紹介される検索ワードを選択して確認するプロセスをひとつひとつ経験しました。
明細書の翻訳作業の前に用意する用語集作成でも、あらかじめ専門用語として適切な訳語となっているか選別すべきでしょう。
その上で翻訳をしながら修正をしていく必要があり、いずれにしても業界用語の検索スキル向上が重要だと感じます。
2.動詞
サンプル導入のためのガスの流れが記述されているので、部品の配置や役割、ガスの運搬や流れの生成について多くの動詞が使われています。
複数の辞書で毎回原義や訳語を調べました。またネットで共起する主語・目的語、類似語を確認して語感を理解する作業を行いました。
配置/設置 dispose, arrange, locate, position, place, set
提供/供給 provide, supply, furnish, feed
送達/運搬 deliver, transport, carry, bear, transfer, drive, push through
調整/調節 adjust, regulate, coordinate
維持/支持 maintain, support, keep, assist
発生/生成 generate, produce, cause, pose, lead to
達成/実現 achieve, accomplish, realize, ensure
最初は訳し分けの一対一のパターンを作ってみました。
これは用語統一に必要な行為だと思いますが、最後は文脈判断で柔軟に変更しなければならないようです。
動画の翻訳を参照しながら、適切な訳出法を学んでいます。
3.前置詞
ガスの流れを記述するために方向を表す前置詞も多用されています。
through 通り、通って、介して、通過して、
in に、において、内に、内で、
into 内に、内へ
out 外へ、(外へ)出る
at で、にて、において
to へ、へと、至る
原義を理解する、文脈に沿って柔軟に選択する、訳語としての統一感も必要、最後は図面との整合、なんでしょうが、難しい。
throughの多彩さに驚かされます。
4.日本語
日本語の表現自体にも改善の余地が多くあります。
対訳シリーズの最初は読点だらけの文章を作っていました。
意識して不要な読点をなくすようにしましたが、講座の訳文はそれよりも少ない。
自力訳と講座訳を吟味すると、修飾語の位置を適切に選ぶとともに主語と述語の距離を工夫すれば、読点がなくても正確で読みやすい日本語になるという結論になります。
こういう日本語の文章を自然に作れるように訓練することが重要です。
助詞の使い方も不安定でした。
私の訳文では主語のあとに「が」を使う頻度が高い。
「が」は未知で排他的な意味合い、「は」既知で対比的な意味合いなので、多くの場合「は」が適切だと理解しました。
方向を表す「に」と「へ」についても理解が浅かったようです。
「に」の方が到達する場所をピンポイントに示すことを再確認しました。
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