対訳学習(ICP-MS)②

Agilent ICP-MS特許を最後まで和訳しました。
訳出の速度はまだ不十分ですが、自分で納得できる訳文にすることを目標に作業を進めました。

1.課題を解決するための手段
新たな用語検索は不要でしたが、一文が非常に長い文節が続きます。

2.発明を実施するための形態
後半は重複する表現が増え速度アップしました。
それでも200語/時間までいくことはなかなかありませんでした。
一日2000語の処理能力に到達するためには、全体を通して平均300語/時間くらいまでもっていくことが必要となります。
まだギャップは大きいですが、当面目標とする速度感が見えてきました。

3.比較実施例
タンデムセル対従来セルの動作原理が説明されています。
あらためて専門分野の資料にあたって基礎知識の底上げを行いました。

ICPーMSシステムは、アルゴンガスに高周波電力を印加してプラズマ(誘導結合プラズマ)を生成します。次にネブライザを用いて液体試料を霧状にしてプラズマトーチ内のプラズマ流に噴霧します。6000~10000Kの高温プラズマ内で試料が原子化・イオン化します。最後に質量分析計でイオンの質量電荷比m/zを測定し、質量スペクトルを出力します。

課題は、測定対象の検体イオン以外に、プラズマガスや試料溶媒由来の多原子イオンが生成し、検体イオンと同じm/zの多原子イオン(妨害イオン)がスペクトル干渉することです。

解決策として、気体分子を導入したセル(コリジョン/リアクションセル)により妨害イオンを除外します。

セル内の四重極イオンガイドは、高周波で運動するイオンを中心軸付近に閉じ込めます。
イオンガイド通過後のイオンの運動エネルギーはガス分子との衝突により低下します。

衝突断面積が大きい多原子イオンは衝突回数が多くなり、運動エネルギーの低下が大きくなります。そこで、セル後段に直流バイアス電圧を印加し、エネルギーの大きい検体イオンのみが通過するよう調製します。セル内イオンガイドのバイアス電圧よりも、質量分析計のバイアス電圧を数ボルト高く設定することで電位障壁を設けるのです。これを運動エネルギー弁別法(KED)と呼びます。

イオンの衝突回数は確率統計で求められらめます(ポアソン分布)。
検体イオンが平均10回衝突するようガス流量を調整すると、断面積2倍の妨害イオンは平均20回衝突します。
両イオンの分布の重なりは、衝突回数が増えるほど少なくなります(信号強度比S/Bが改善)。

一方、衝突後のイオンの平均運動エネルギーは衝突回数が増えるほど低下します(剛体球衝突モデル)。 低エネルギーのイオンは電位障壁を越えられないため、衝突回数が多くなると検体イオン信号強度も下がってしまいます(感度低下)。

衝突回数を増やしても検体イオンの運動エネルギーを維持しやすいため、リジョンガスには不活性ガスのうちもっとも質量が小さいHeが使用されます。

誘導結合プラズマ質量分析法におけるコリジョン/リアクションセル技術の展開(2004)

コリジョン・リアクションセル技術の進展(2018)

4.最終部分
コンピュータシステムやソフトウェアの構成に関する記述でした。
これまで読んだ明細書にも同様な記述がありました。
IT関連用語にも習熟しておく必要があります。

5.請求項
表現のほとんどは実施形態からとられています。
メモリもそこそこマッチしますが、請求項としての表現形式にあわせるため、言い回しや用語が一部ことなっています。
それにあわせて日本語の表現形式も整える必要がありました。

11月にロゴヴィスタのキャンペーンで日本語の辞書を買いそろえました。
今回はこれらの辞書も活用して適切な表現となるよう心がけました。

6.校正作業
これから自分の校正スキームを構築していく必要があります。
TradosのQAチェッカー、Just Right!6 Pro、Xbench 2.9、その他のツールを使ってチェックをかけてみました。まだ十分に使いこなせていませんが、いろいろと試して行く予定です。

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